【東和通信】 脱炭素 ~自動車産業の変革?!

 昨年の10月に日本政府は、『2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素)を目指す。』ことを宣言いたしました。これはECや米国、中国等主要国が次々とカーボンニュートラル実現に向けた世界的な動向の中で表明したものであります。今回は、世界的な国策として加速するカーボンニュートラル実現に向けた企業の取り組み、特に自動車産業の事業展開についてお話しします。
 国内企業では、温暖化ガスの排出抑制に向けた新事業の開発や方向転換が始まっています。カーボンニュートラルを目指す上で不可欠とされるのが、蓄電池、カーボンリサイクル、水素、洋上風力等の重要分野であります。次世代太陽電池といわれるペロブスカイト、有機薄膜、色素増感等は変革のカギを握るものとして、既存太陽電池の発電性能を上回ると期待されています。
 カーボンリサイクルは、工場等から排出される二酸化炭素を炭素資源として燃料や化学品としてリサイクルするものとして注目を集めています。そしてトヨタ自動車の新型「ミライ」は、水素で走る燃料電池車で、≪究極のエコカー≫と言われています。空気中の酸素との科学反応で作った電気で走り、二酸化炭素の排出はゼロです。更には、水素から電気を作る燃料電池の技術は乗用車以外の分野にもニーズがあります。バスやトラックの商用車、鉄道や船舶の動力源に転用できるだけでなく、工場や店舗の電源としても活用できることで期待されています。ドイツは「国家水素戦略」を政府で決定して、ダイムラーをはじめ燃料電池システムの量産に向けた開発が進んでいます。スズキは電池を載せるスペースが乏しい軽自動車の為、ハイブリッド比率を高めていきます。本田はF1から撤退して、その経営資源を燃料電池車に投入します。カーボンニュートラル社会は、海外でも日本でも、自動車産業でも技術開発が進んでいます。

2021年05月31日